業務効率化の成功事例3選|効率化を実現する具体的アプローチを解説

2025.06.06

企業を取り巻く環境が急速に変化する現代において、業務効率化は企業の競争力を高める重要な取り組みとなっています。効率化が求められる背景には、顧客ニーズの多様化や人手不足、働き方改革の推進、DXへの対応など、多岐にわたります。本コラムでは、実際に業務効率化に成功した事例と、業務効率化を行うための手法を紹介します。

業務効率化とは?

業務効率化とは、企業活動における業務プロセスを見直し、無駄を省き、同じ時間でより多くの成果を生み出せるようにする取り組みです。単なる「時間短縮」ではなく、業務の質を向上させながら生産性を高めることが本質です。具体的には、ワークフローの最適化、システム導入によるオートメーション化、業務の標準化などを通じて、時間やコストの削減と同時に業務の正確性や一貫性を高めるといったものを指します。近年ではDX(デジタルトランスフォーメーション)の一環としても取り組む企業が増えています。

業務効率化を行うメリット

業務効率化は、主に以下のメリットをもたらします。

  • ♦ 直接的なコスト削減(人件費・残業代の余剰コスト削減)
  • ♦ 事業の高度化や上流業務へのシフト(創造的な付加価値業務への集中)
  • ♦ 業務品質の向上(ヒューマンエラーの削減・属人化解消等)

これらのメリットは相互に関連しており、効率化によって生まれた時間やマンパワーを戦略的業務に割り振ることで、企業の競争力強化と持続的成長につながります。

業務効率化を成功させるための3つの視点

業務効率化を実現するため必要となる、3つの視点と具体的なアプローチを紹介します。

自動化による定型作業の削減

「無駄な仕事をなくす」発想が効率化の第一歩です。反復的な定型作業はExcelのVBAやマクロで自動化やEUCで削減できます。複雑な業務にはRPAも効果的です。自動化で生まれた時間を戦略立案や顧客対応など付加価値の高い業務に振り向けることが重要です。例えば、経理部門では決算データの統合業務や請求書処理の自動化により大幅な時間短縮が可能になります。業務効率化で生まれた余剰時間を、数値分析などの上流作業に充てることできます。

EUCに関して詳しくは「EUCとは?業務効率化を実現する仕組みと導入ステップを解説」もご覧ください。

データベース活用による情報の一元管理

企業内データの一元管理で情報検索の効率と確実性が向上します。顧客情報のデータベース化によりフォルダ探索の手間が大きく削減され、部署間での情報共有がスムーズになります。ノーコードツールを使えば現場主導でのデータベース構築も可能です。また、情報を標準化することで、データ品質が上がり分析精度が高まる副次効果も見込めます。

ナレッジ共有による属人化の解消

業務の属人化は効率化の障壁です。単に作業の手順書を作成するのではなく、「なぜこうすることが必要なのか」といった背景知識も含めたマニュアルの作成が効果的です。営業や企画部門でも成功事例や交渉ポイントの共有で業務の質が均一化します。デジタルツールでのナレッジ共有によって新人教育期間の短縮が実現できます。

属人化の解消に関して詳しくは「属人化解消の具体的な進め方|リスク分析から効果的な対策まで」もご覧ください。

事例1.Excel自動化のEUCによる業務効率化

富国生命保険相互会社不動産部では、不動産管理業務のシステム対応を外部委託としていたため、以下の課題を抱えていました。

  • 操作上の不具合や利用頻度の低い帳票の改善が先送り。積み残し案件が増加
  • 前任者が作成した複雑なシステムの引継ぎが困難
  • 個人管理、重複管理されていた重要データによるセキュリティ面の脆弱性
  • システム改善が進まないことによる業務効率の停滞

この課題を解決するため、同社はEUCアドバイザリーサービスを活用し、現場主導のシステム開発環境を構築しました。具体的には、積み残し案件の解消支援、前任者の業務引継ぎ支援、EUC統制の仕組み整備などを実施しました。

結果として、以下の成果が得られました。

  • 1年半で100件以上の積み残し案件が解消され業務効率が大幅に改善
  • 引継ぎ困難だったシステムの再構築により業務の安定化を実現
  • 重要データの一元管理とセキュリティ強化
  • EUCの活用によりシステムの外部委託と比較して7割の開発コスト削減

このEUCアドバイザリーサービスの事例は、現場主導のシステム活用が、業務改善と組織の活性化を同時に実現できることを示しています。

富国生命保険相互会社不動産部様の事例「ビジネスを進化させる現場発の業務改善、EUCアドバイザリーサービス」

事例2.ヒューマンエラーをなくして業務効率化

DBJ Europe Limited社では、欧州・中東・アフリカ地域での投融資やM&Aサービス提供において、以下の課題を抱えていました。

  • 金融ニーズの多様化に伴う取扱案件の増加と事務処理量の拡大
  • 期日管理の徹底が難しくなりヒューマンエラーのリスクが増大
  • 契約ごとのファイル管理が統一されておらず、情報管理が非効率
  • 業務が特定担当者の知識や経験に依存する属人化が進行

この課題を解決するため、同社はEUCアドバイザリーサービスを活用し、融資案件管理システムの開発・導入を実施しました。入金・仕訳・支払などの融資管理業務を一元化し、期日データをスケジューラーと連動させることで期日管理を徹底しました。また、契約ごとのファイル管理・運営を標準化し、業務の棚卸しによる業務フローの最適化も同時に進めました。さらに、融資管理データと会計・財務データの連携環境を構築しました。

結果として、以下の成果が得られました。

  • 見落としなどのヒューマンエラーが効果的に防止され、業務の安全性が向上
  • 特定の担当者に依存しない業務体制が実現し、人員の柔軟な配置が可能に
  • 無駄な工程の削減により、作業時間が約30%短縮
  • 様々な切り口でのレポート出力と多角的なデータ分析により、管理業務の精度と意思決定の質が向上

この導入事例は、EUCアドバイザリーサービスによる現場の声を反映したシステム開発が、ヒューマンエラーの撲滅と業務効率の向上を同時に達成できることを示しています。

EUCアドバイザリーサービスについて詳しくはこちらをご覧ください。

DBJ Europe Limited社の事例「ヒューマンエラー”ゼロ”と企業発展の一押しを実現する融資管理システム」

事例3.プロセス改善による業務効率化

ベストパートナーズ税理士法人村上事務所では、社員の健康を重視し、長時間労働削減に取り組みました。同事務所が抱えていた課題は以下の通りです。

  • 業務の属人化により、進捗状況の管理や従業員間での連携が困難
  • 特定の社員に長時間の残業が集中し、高い業務負担が発生
  • 顧問先への移動時間による業務時間の圧迫、また顧問先対応の遅延
  • 時間外労働が常態化し、改善に対する諦めムードの蔓延

これらの課題を解決するため、11時間の勤務間インターバル制度を導入し、限られた時間内で業務を完遂する体制づくりに着手しました。業務の洗い出しと選別を行った上で、クラウド業務システムを導入し、属人化していた業務を共通プラットフォームに集約しました。また、勤怠管理システムも導入し、労働時間への意識改革も進めました。

結果として、以下の成果が得られました。

  • 業務時間が従来比15%削減され、企画業務に充てる時間が創出
  • 社員間の情報共有が円滑になり、サービス低下なく有給休暇取得が可能に
  • 労働時間に対する意識向上と管理部門の業務効率化

システム導入と意識改革の両面から取り組むことで、業務効率化と働き方改革を同時に実現できることを示しています。

出典:厚生労働省『働き方改革特設サイト』ベストパートナーズ税理士法人 村上事務所(2025年4月18日参照)

今回の事例が示すように、業務の属人化や長時間労働の問題には、適切なシステム導入と全社的な意識改革が必要となります。DBJデジタルの業務Analyzでは、業務標準化の課題を可視化し、現場に最適な業務プロセスやシステムをご提案します。

業務効率化を成功させるためのステップと注意点

業務効率化を成功させるためには、段階を踏んだアプローチが必要です。ここでは効率化プロジェクトを成功に導くためのステップと注意点を簡潔に解説します。

効率化プロジェクトの進め方:ステップ別解説

まず「現状分析」として業務量調査を行い、次に具体的な「目標設定」をします。業務量調査とは、組織内で行われている業務の内容や所要時間、頻度などを定量的に把握・分析する手法です。続いて「課題整理と優先順位付け」を行い、効果と実現難易度から取り組むべき課題を決定します。「施策立案」と「施策実行」では、小規模な試行から始め、効果を検証しながら展開します。最後に「効果測定と継続改善」を行い、成果を評価し続けることが重要です。

実践ステップ

STEP1にある業務量調査に関して詳しくは「業務量調査とは?3つの方法と業務改善への活用ポイントを具体例付で解説」もご覧ください。

また、業務効率化には業務の棚卸や属人化の解消が必要になります。以下のコラムで詳しい方法を解説しているので合わせてご覧ください。

「効果的な業務の棚卸しとは?|5つの手法と実践ステップを解説」

「属人化解消の具体的な進め方|リスク分析から効果的な対策まで」

失敗しないためのリスク管理と体制づくり

失敗を防ぐには、「現場の理解・協力不足」「スキル不足」といったリスクに対処する体制づくりが必要です。トライアル期間を設けて全社展開前に推進体制を構築し、現場の声を取り入れる仕組みを作ることで、変化への抵抗を最小限に抑えられます。小さな成功体験を積み重ねていきましょう。

導入後の定着化と継続的改善のポイント

新しい業務プロセスやシステムを定着させるには、マニュアルの作成と周知が不可欠です。マニュアルは社員が簡単にアクセスできる場所に保管し、更新時には変更点や背景を明確に説明しましょう。また、定期的な振り返りの機会を設け、改善点を議論する文化を醸成します。そうすることで継続的に改善ができ、品質向上にもつながります。

さらに、業務プロセスの質を高めるために、定期的な品質チェックを実施し、発生したエラーや不具合の原因分析を行うことが重要です。例えば「処理時間の短縮率(導入前比20%削減)」「入力ミス発生率(1,000件あたり5件以下)」などの具体的な数値目標を設定することで、PDCAサイクルを効果的に回すことができます。KPIの設定には業務量調査を実施することで、無駄な作業の特定や工数の偏りを可視化し、効果的な改善策の立案が可能になります。

業務量調査に関して詳しくは「業務量調査とは?3つの方法と業務改善への活用ポイントを具体例付で解説」もご覧ください。

業務効率化の成功は業務プロセスと課題の可視化が第一歩

業務効率化の方法にはEUCによる自動化、データベース一元管理、ヒューマンエラーを無くす仕組みづくりなど、多角的な側面からのアプローチが考えられます。重要なのは、単なるにツールを導入するのではなく、業務の可視化から始め、本質的な課題を特定した上で最適な解決策を選ぶことです。

業務効率化を検討される際には、まず現状の業務を可視化し、改善すべき優先順位を明確にすることから始めてみてはいかがでしょうか。

DBJデジタルでは、お客様の業種や規模に応じた最適な分析手法の選定から、実践的なサポートまでご提供しています。業務効率化にお悩みの方は、ぜひお問い合わせください。

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