業務プロセス改善を成功に導くには?|改善手法と進め方のステップを徹底解説

2026.03.27

日常業務の中で「もっと作業を効率化できるのでは」「業務フローが複雑化していないか」「属人化が進んでいる」といった課題を抱えて悩んでいる企業は少なくありません。こうした問題に対して業務プロセスを効果的に改善することで、課題を根本から解決し、限られたリソースで最大の成果を生み出す仕組みを作ることができます。

本コラムでは、業務プロセスを改善する際の基本的な考え方から、具体的な手法、そして進め方を5つのステップで解説します。成功のポイントを押さえて効果的な改善活動を進めていきましょう。

業務プロセスの改善とは

まず業務プロセスとは、製品やサービスの提供や労務管理・会計といったコーポレート業務等、企業における一連の業務の流れを指します。

例えば、営業部門の場合「見込み客獲得→初回商談→提案書作成→見積提示→契約締結→納品→アフターフォロー」という流れが業務プロセスにあたります。

そして業務プロセス改善とは、この一連の流れを見直し、無駄を削減し、より効率的で効果的な方法に変えていく活動です。現状の業務を客観的に分析し、作業の削除や統合、フローの組み直しといった最適化を図ることで、限られたリソースを最大限に活用してより高い効果を発揮することができます。

業務プロセスと業務フローとの違い

業務プロセスと業務フローは、対象とする範囲が異なります。

  • 業務フロー :特定の業務がどのような順序で進むかを示した作業手順や流れ図のことです。
  • 業務プロセス:インプット(入力)からアウトプット(出力)までの一連の活動全体を包括する概念です。

例えば、経理部門の請求書処理の場合、業務フローは「請求書受領→内容確認→上長承認→システム入力→支払処理」という具体的な手順を示します。一方、業務プロセスは「請求書処理業務」という全体の枠組みを指し、その中に複数の業務フローが含まれることもあります。

業務プロセスの改善とBPR・BPMの関係

業務プロセスを改善するための代表的な手法としてBPRとBPMが挙げられます。改善の規模や目的に応じて、どちらの手法を採用するかを選択します。

BPR(Business Process Reengineering)

既存の業務プロセスを根本から見直し、抜本的に再設計する手法です。ゼロベースで業務を再構築し、劇的な改善を目指します。たとえば、紙ベースで行っていた承認業務を完全にデジタル化し、承認プロセスそのものを再設計するような大規模な変革がBPRにあたります。

BPM(Business Process Management)

業務プロセスを継続的に可視化・分析・改善・最適化していく管理手法です。日常的な小さな改善を積み重ねながら、業務プロセスの質を段階的に高めていくアプローチです。

業務プロセスの改善という目的を達成するために、BPRは「革新的な変革」として、BPMは「継続的な改善」として活用される関係性にあります。多くの企業では、まずBPMで小さな改善を積み重ね、必要に応じてBPRで大規模な変革を行うという組み合わせが効果的です。

本コラムでは、BPR・BPMの両面から業務プロセスの改善について深掘りしていきます。

業務プロセスを改善する代表的な手法

効果的な業務プロセス改善を実現するための代表的な手法を紹介します。

業務フロー図による可視化

業務プロセス改善の第一歩は、現状の業務を可視化することです。業務フロー図を作成することで、作業の流れや関係者の役割、意思決定のポイントが明確になります。フローチャートやスイムレーン図などを活用し、誰がどのタイミングで何を行っているかを図式化します。

可視化することで、これまで気付かなかった無駄や重複作業、ボトルネックが明らかになります。また、関係者全員が同じ認識を持てるため、さらに踏み込んで改善の議論を進めることができます。

お問い合わせ・一次フロー図

業務フロー図による可視化に関して詳しくは、お役立ち資料「属人化・非効率を解消する!業務フロー図の作り方」もご覧ください。

業務フロー図の作り方 資料ダウンロードはこちら

ECRSの原則(排除・結合・交換・簡素化)

ECRSは、業務改善の基本原則として広く活用されている手法です。Eliminate(排除)、Combine(結合)、Rearrange(交換)、Simplify(簡素化)の頭文字をとったもので、この順番で検討することが推奨されています。

まず「排除」では、その作業は本当に必要かを問い直します。次に「結合」では、複数の作業をまとめられないかを検討します。「交換」では作業の順序や担当者を変更できないか考え、最後に「簡素化」で作業をより簡単にする方法を探ります。不要な作業を排除せずに簡素化しても、根本的な改善にはならないため、この順序が重要です。

ECRSの法則

ECRSに関して詳しくは「ECRS(イクルス)とは?業務改善の4原則と実践ステップを事例付きで解説」もご覧ください。

ボトルネック分析

ボトルネックとは、業務プロセス全体の流れを滞らせている原因のことです。どんなに他の工程を効率化しても、ボトルネックとなっている工程の処理能力が改善されなければ、全体の生産性は向上しません。

ボトルネック分析では、各工程の処理時間や待ち時間を測定し、どこで作業が滞っているかを特定します。特定されたボトルネックに対して、リソースの追加配分や作業方法の見直し、自動化などの対策を講じることで、業務プロセス全体の処理速度が改善し、生産性が向上します。

業務分析に関しては「業務分析とは?目的から手法、効果的な進め方までを解説もご覧ください。

ボトルネック分析による業務プロセスの可視化

業務プロセスを改善する進め方|5つのステップ

実際に業務プロセス改善を進める際の具体的な手順を解説します。

1.現状把握と課題の洗い出し

まずは業務に携わる担当者へのヒアリングに加えて、実際の作業を確認しながら、現在の業務プロセスを詳細に理解します。その際、業務フロー図を作成し、各工程にかかる時間やコスト、関与する人員を明らかにすると課題を可視化しやすくなります。

「なんとなく時間がかかっている」ではなく、具体的に何分かかっているのか、どこで待ち時間が発生しているのかを数値で把握することが重要です。

2.改善目標の設定

洗い出された課題に対して、具体的な改善目標を設定します。目標は可能な限り定量的に設定することが重要です。「作業時間を短縮する」ではなく、「請求書処理にかかる時間を現在の平均60分から30分に短縮する」といった具体的な数値目標を掲げます。

目標設定では、実現可能性と効果のバランスを考慮します。過去のデータや他社事例を参考にしながら、適切な目標を設定しましょう。

3.改善策の立案

設定した目標を達成するための具体的な改善策を立案します。ここでECRSの原則やボトルネック分析の結果を活用します。複数の改善案を検討し、費用対効果や実現可能性、リスクなどを総合的に評価して、最適な改善策を選択します。

改善策の立案では、現場の意見を積極的に取り入れることが重要です。トップダウンで改善策を押し付けるのではなく、現場を巻き込んだ議論を通じて、実効性の高い改善策を作り上げます。

4.実行とテスト

改善策が固まったら、いきなり全面展開するのではなく、小規模なテストから始めることを推奨します。特定の部署や限定的な期間で試験導入し、想定通りの効果が得られるか、予期しない問題が発生しないかを検証します。

テスト期間中は、関係者からのフィードバックを積極的に収集し、使いにくい点や改善すべき点があれば、テスト期間中に修正して全面展開に備えます。

5.効果測定と定着化

改善施策を全面展開した後は、設定した目標に対する達成度を定期的に測定します。定量的な指標だけでなく、社員の満足度や顧客からの評価など、定性的な側面も含めて評価することも大切です。

また、改善した業務プロセスを組織に定着させるため、新しいプロセスをマニュアル化し、教育研修を実施します。改善活動自体を組織文化として根付かせ、継続的な改善が行われる仕組みを構築します。

業務プロセスの改善を成功させるポイント

業務プロセス改善を成功させるためのポイントを紹介します。

経営層と現場を巻き込み推進体制を構築する

業務プロセス改善を成功させるには、経営層のコミットメントと現場の協力の両方が不可欠です。経営層が改善の重要性を認識し、必要なリソースを配分する一方で、現場の担当者が主体的に改善活動に参加する体制を作ります。

プロジェクトリーダーを配置して明確に役割を設定し、各部署から代表者を選出してチームを編成します。改善を進める上では定期的な進捗報告の場を設け、経営層と現場が情報を共有しながら進めることで、業務プロセスの改善、そして組織全体で次の改善に取り組む機運が高まります。

小さく始めて段階的に拡大していく

大規模な変革を一度に実施しようとすると、リスクが高くなり、失敗した時の影響も大きくなります。まずは限定的な範囲で改善を試み、成功事例を作ることが重要です。小さな成功体験を積み重ねることで、組織全体の改善意欲が高まります。

また、段階的なアプローチは、各段階で学んだ教訓を次のステップに活かせるという利点もあります。

ITツールやシステムを効果的に活用する

現代の業務プロセス改善において、ITツールやシステムの活用は欠かせません。ワークフローシステムやEUC・RPAの構築、クラウドサービスの利用など、さまざまなツールを適切に組み合わせることで、大幅な効率化が実現できます。

ただし、ツール導入そのものが目的とならないよう注意が必要です。まず業務プロセスを見直し、最適化してからツールを選定します。業務の本質的な改善とIT活用を組み合わせることで、最大の効果が得られます。

EUCに関して詳しくは「EUCとは?業務効率化を実現する仕組みと導入ステップを解説」もご覧ください。

専門的なコンサルタントに依頼する

自社だけで業務プロセス改善を進めることが難しい場合、専門的なコンサルタントに依頼することも有効な選択肢です。コンサルタントは客観的な視点から課題を特定し、効果的な改善策を提案することができます。

特に、業務プロセス改善の経験が少ない企業や、大規模な変革を短期間で実現したい場合など、外部の専門家の力を借りることで、成功確率を高めることができます。

継続に改善を行うことが企業の競争力を高める

業務プロセス改善は、企業の生産性向上とコスト削減を実現し、競争力を高めるための重要な取り組みです。ECRSの原則やボトルネック分析などの手法を活用し、現状把握から効果測定までの5つのステップを着実に進めることで、成果を生み出すことができます。また、自社だけで課題の特定や改善策の立案が難しい場合は、豊富な経験とノウハウを持つ専門コンサルタントの活用も有効です。

DBJデジタルでは、企業の業務効率化や生産性向上を支援する包括的なコンサルティングサービスを提供しています。業務分析の実施から改善施策の立案、実行支援まで、お客様の課題に合わせたサポートを行っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。

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