業務分析とは?目的から手法、効果的な進め方までを解説

2025.12.18

日々の業務に対して「もっと効率化したいがどこから手をつければいいのかわからない」「特定の社員に業務が集中してしまっている」といった課題を抱えている企業は少なくありません。こうした問題を解決する第一歩が「業務分析」です。

業務分析とは、現在行われている業務を細かく分解して可視化し、課題を明確にするプロセスのことです。本コラムでは、業務分析の基本から具体的な手法、実践的な進め方まで、実務に役立つ情報を詳しく解説していきます。

業務分析とは?

業務分析とは、組織内で日常的に行われている業務を細分化し、「誰が」「何を」「いつ」「どのように」「どれくらいの時間をかけて」行っているのかを可視化することで、業務プロセス全体の実態を明らかにし、課題や改善点を見つけ出す取り組みです。

また、業務分析は業務改善を行う際の第一歩となる重要なプロセスです。現状を正確に把握せずに改善を試みても、的外れな施策になりかねません。そのため、業務分析によって「現状(As-Is)」を可視化し、理想の姿「あるべき姿(To-Be)」とのギャップを明確にすることで、効果的な業務改善が可能になります。

業務分析の目的と必要性

業務分析の主な目的は、以下の3つです。

目的 内容
業務の可視化による課題発見 現状の業務フローを明確にすることで、重複作業や無駄な工程、ボトルネックとなっている箇所を特定。これまで見過ごされていた改善ポイントを発見できます。
属人化の解消 特定の担当者しか把握していない業務内容や手順を明文化・標準化することで、誰でも対応可能な体制を構築。休職や退職によるリスクを軽減します。
継続的な業務改善の実現 業務分析で得られたデータや知見を蓄積・活用することで、PDCAサイクルを回せます。段階的かつ持続的な業務プロセスの最適化を推進できます。

業務のボトルネックや属人化といった問題を発見するために業務分析は必要です。業務分析を定期的に実施することでより良い業務プロセスを構築することが可能になります。

業務分析を行うメリット

業務分析がもたらす具体的な効果について、主なメリットを4つ紹介します。

業務効率化と生産性の向上

業務を可視化することで、これまで気づかなかった非効率な作業や重複している業務が明らかになります。複数の部署で同じデータ入力作業が行われていたり、承認フローが複雑化して意思決定が遅れていたりする状況を発見できます。これらの課題を改善することで、社員は単純作業から顧客対応や企画業務など、企業の成長に直結する業務へとリソースをシフトできます。

業務改善の具体的な施策に関しては「業務改善アイデア15選!部門別の改善施策を具体的に紹介」もご覧ください。

属人化の防止と業務の標準化

特定の社員しか対応できない業務が存在すると、その社員の休暇や退職時に業務が停滞するリスクが生じます。業務分析を通じて各業務の内容や手順を可視化することで、「誰でもできる業務」と「特定のスキルが必要な業務」を区別できます。標準化できる業務はマニュアルやチェックリストを整備し、組織全体で共有することで、特定の社員に依存しない業務体制を構築できます。

属人化の解消に関して詳しくは「属人化解消の具体的な進め方|リスク分析から効果的な対策まで」もご覧ください。

課題の明確化とコスト削減

業務分析によって数値やデータで業務の実態を把握することで、どの工程にどれだけの時間やコストがかかっているのかが明確になります。使用頻度の低いシステム・サービスの利用、実質的に機能していない定例会議、過剰な承認プロセスなど、削減可能なコストを特定できます。優先順位をつけて改善に取り組むことで、経営資源を本当に必要な部分に集中させることが可能になります。

データに基づく意思決定の実現

業務分析によって収集されたデータは、経営判断の精度を高める重要な材料となります。客観的なデータに基づいて意思決定を行うことで、より効果的な業務改善施策を実施できます。業務のボトルネックがどこにあるのか、どの業務から改善すべきかといった優先順位が数値で明確になるため、限られた予算や人員を最も効果の高い施策に投入できます。

業務分析を行う方法3選

業務を可視化し、課題を発見するための代表的な方法を3つ紹介します。

【業務分析の手法一覧表】

手法名 内容 どんな場面で使うか
業務フロー図 業務の開始から終了までのフローや判断を矢印でつないで表現する図 誰がどの作業をどのような手順で担当しているか、業務の流れや責任範囲を明確にしたいとき
業務体系表 業務を大分類・中分類・小分類に分けて一覧表にする すべての業務を漏れなく整理し、作業時間や担当者を明確にしたいとき
MECE 「モレなく、ダブりなく」業務を整理する考え方 重複している作業や、見落としている業務がないか確認したいとき

業務フロー図の作成

業務フロー図は、業務の流れを視覚的に表現する最も基本的な手法です。業務の開始から終了までの一連の流れを、図形(楕円:開始/終了、長方形:作業、ひし形:判断)と矢印を使って表現します。

例えば、受注処理業務の場合、「注文受付」→「在庫確認」→「受注登録」→「出荷指示」→「請求書発行」という流れを図示することで、各部署の役割や処理の順序が一目で把握できます。これにより、業務の停滞箇所や部署間の連携不足などの課題を発見しやすくなります。作成時は現場担当者と協力し、実態に即した内容にすることが成功のポイントです。

【有給申請の業務フロー図】

有給申請の業務フロー図

業務体系表(アクティビティリスト)

業務体系表は、業務を階層的に整理し、詳細な業務内容を一覧化する手法です。大分類、中分類、小分類という階層構造で業務を整理することで、組織全体の業務を網羅的に把握できます。

例えば、経理部門の業務を「日次業務」「月次業務」「年次業務」に大分類し、月次業務をさらに「請求書処理」「支払処理」「月次決算」に中分類、請求書処理を「請求書受領」「内容確認」「システム入力」「承認依頼」に小分類します。各業務に担当者、所要時間、使用システムを記載することで、業務量の偏りや非効率な作業を特定できます。Excelで作成すれば、フィルター機能で特定の担当者や業務を抽出して分析することも可能です。

【経理部門の業務体系表(アクティビティリスト)の図】

アクティビティリストの図

MECE(モレなくダブりなく)の原則

MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)は、「モレなく、ダブりなく」という意味の思考法で、業務分析において重要な原則です。業務を整理する際、すべての業務が網羅されており(モレなく)、かつ重複がない(ダブりなく)状態を目指します。

例えば、顧客対応業務を「新規顧客対応」「既存顧客対応」「クレーム対応」と分類した場合、既存顧客からのクレームがどこに含まれるか不明確になり、MECEではありません。これを「新規顧客対応」「既存顧客通常対応」「全顧客クレーム対応」と整理し直すことで、モレもダブりもない分類になります。MECEの原則に従うことで、見落としている業務や複数の担当者が重複して行っている無駄な作業を確実に発見できます。

【MECEの概念図】

MECEの概念図

業務分析の進め方【4つのステップ】

業務分析を成功させるための4つのステップを解説します。初めて取り組む方でも、この手順に沿って進めることで着実に成果を出すことができます。

ステップ1:対象業務の選定と目的の明確化

業務分析の第一歩は、どの業務から着手するか対象を選定し、何のために分析を行うのか目的を明確にすることです。

対象業務を選ぶ3つのチェックポイント

初めての業務分析では「課題の見えやすさ」を最優先に選ぶことをおすすめします。すでに問題が表面化している業務から着手することで、早期に成果を出しやすく、組織内での理解も得られやすくなります。

    1.課題の見えやすさ【最優先】

  • 毎月残業が発生している業務
  • ミスが多発している業務
  • 担当者から不満の声が上がっている業務(例:月末の締め作業、問い合わせ対応、データ入力業務)

    2.改善効果の大きさ【2番目に検討】

  • 複数部署が関わる業務
  • 多くの社員が携わる業務(例:受注〜納品プロセス、経費精算、勤怠管理)

    3.改善の実現しやすさ【迷ったときの判断基準】

  • 関係者が少ない業務
  • 業務プロセスがシンプルな業務(例:特定部署内で完結する定型業務)

つまり、「問題が明確で、ある程度の改善効果が見込め、実現可能性も高い」業務が最適な選択となります。欲張って大規模な業務から始めるより、小さな成功体験を積み重ねることが、組織全体の業務改善につながります。

目的設定のポイント

対象業務を絞り込んだら、その業務に対する改善目標を具体的に設定します。

  • 「業務効率化により残業時間を月20時間削減」
  • 「コスト削減により年間500万円の経費削減」
  • 「属人化を解消し、誰でも対応可能な体制構築」
  • 「ミス発生率を現状の5%から1%以下に削減」

このように対象業務の選定を先に行い、その後に具体的な目的・目標を設定することで、より実効性の高い業務分析が可能になります。

対象業務の選定や目的設定に迷う場合は、専門家による業務分析サービスの活用も選択肢の一つです。DBJデジタルの「業務Analyze」では、お客様の状況に応じた最適な分析手法の選定から実施まで、経験豊富なコンサルタントがサポートいたします。

ステップ2:情報収集と業務の可視化

目的が明確になったら、現場の実態を把握するための情報収集を行い、同時に業務プロセスを可視化していきます。机上の想定ではなく、実際の業務がどのように行われているかを正確に把握することが重要です。

主な情報収集方法

  • ヒアリング:担当者への個別インタビューで詳細な業務内容や課題感を聞き取る
  • アンケート:複数の担当者から効率的に情報を収集
  • 業務観察:実際の作業現場を観察し、ヒアリングでは把握できない実態を確認
  • 業務日報の分析:過去の作業記録から業務量や所要時間のデータを収集

収集した情報の可視化

収集した情報は、目的に応じて前述の手法を選択して可視化します。例えば、業務の流れやボトルネックを把握したい場合は「業務フロー図」、全業務の棚卸しや業務量分析を行いたい場合は「業務体系表」を作成します。どちらの手法を使う場合も、MECEの原則に基づいて「漏れや重複がないか」を確認しながら進めることが重要です。

これにより「受注処理に平均3時間かかっている」「月末に請求書作成業務が集中し、残業が発生」といった具体的な課題が明確になります。

業務の棚卸しに関して詳しくは「業務の棚卸しの進め方|5つの手法と実践ステップを解説」もご覧ください。

ステップ3:課題の分析と特定

可視化された業務プロセスを多角的に分析し、改善すべきポイントを洗い出します。分析の際は「ムダ・ムリ・ムラ」の3つの観点が特に有効です。

ムダ・ムリ・ムラの具体例

    ムダ(排除すべき作業)

  • 誰も見ていない報告書の作成
  • 重複したデータ入力作業
  • 過剰な承認プロセス

    ムリ(負荷が高すぎる作業)

  • 特定の担当者に集中している業務
  • 短時間での大量処理が必要な作業
  • スキルレベルに合わない高度な業務

    ムラ(ばらつきのある作業)

  • 月末・月初に集中する業務
  • 担当者により品質や処理時間が異なる作業
  • 繁忙期と閑散期の差が激しい業務

これらの観点で分析した結果を、「改善効果の大きさ」と「実現可能性」の2軸でマッピングし、優先順位を決定します。

ステップ4:改善案の策定と実行

特定された課題に対し、ECRSの原則に基づいて具体的な改善案を策定します。

ECRS原則による改善アプローチ

  1. Eliminate(排除):不要な業務や工程を完全になくす
    例:形骸化した定例会議の廃止、重複入力の排除
  2. Combine(結合):複数の業務をまとめて効率化
    例:複数の報告書を1つに統合、類似業務の一本化
  3. Rearrange(再配置):業務の順序や担当者を最適化
    例:承認フローの簡素化、業務の平準化
  4. Simplify(簡素化):業務手順の簡略化や自動化
    例:RPA導入による定型作業の自動化、AI-OCRによる書類のデジタル化

改善策の実行においては、課題の規模に応じて改善方法を選択します。現場主導で実施できるものとして、Excelマクロ等のEUC(エンドユーザーコンピューティング)や、Power AutomateなどのRPAツール、kintoneなどのノーコードツールがあり、これらを駆使することで迅速に改善を始められます。

基幹システムとの連携や全社展開が必要な場合は、IT部門と協力して進めることになります。まず現場でできることから着手し、必要に応じて段階的に拡大していくアプローチが効果的です。

改善実施後は効果測定を行い、目標達成度を確認しましょう。さらにPDCAサイクルを回すことで、継続的に業務改善を行うことが可能となります。

EUCに関して詳しくは「EUCとは?業務効率化を実現する仕組みと導入ステップを解説」もご覧ください。

業務分析で正しく現状把握することで、必要な改善策を見つけられる

業務分析は、企業が持続的に成長していくための重要な第一歩です。

本コラムで解説した3つの手法や、4つの実施ステップを実践することで、これまで見えなかった課題を明確にすることができます。「なんとなく非効率」「誰かに負担が偏っている気がする」といった漠然とした問題意識から、具体的な改善点を把握できるのが業務分析の強みです。

まずは課題が見えやすい小さな業務から始めてみてください。成功体験を積み重ねることで、組織全体の改善意識が高まり、より大きな変革へとつながっていきます。

一方で、自社で進めることが難しい場合は、外部の専門家を活用することも有効です。DBJデジタルでは、業務分析の実施からEUCを活用した改善施策の立案、実行支援まで、お客様の状況に応じた最適なサポートを提供しています。業務効率化やDX推進でお困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。

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