AIとRPAの違いとは?それぞれの特徴と効果的な活用方法を解説
2025.12.18

業務効率化にあたって「AI」や「RPA」という言葉を目にする機会が増えていますが、この2つの技術の違いを正しく理解できているでしょうか。AIは人工知能として自ら学習し判断を下す技術であり、RPAはロボットによる業務自動化として定型作業を忠実に実行するツールです。一見似ているように思えますが、実は役割も得意分野もまったく異なります。
本記事では、AIとRPAの基本的な違いから、組み合わせることで得られる具体的なメリット、実際の導入事例まで詳しく解説していきます。
AIとRPAとは?それぞれの定義と特徴
まず、AIとRPAがどのような技術なのか、その定義と特徴を理解しましょう。両者の根本的な違いを知ることが、効果的な活用の第一歩となります。
AI(人工知能)の定義と特徴
AI(Artificial Intelligence)とは、人間の知的な活動(学習・推論・判断)をコンピュータで再現する技術です。特徴は、データから学習して自律的に判断できる点にあります。人間がルールを教えなくても、膨大なデータを分析することで法則性やパターンを見つけ出し、状況に応じた最適な判断を下すことができます。
例えば、顧客からのメールを受信した際に、その内容を読み取って「この問い合わせは至急対応が必要だ」「この案件は営業部門に転送すべきだ」といった判断を自律的に行えます。そのアプローチもさまざまで、画像認識、音声認識、自然言語処理、需要予測など、人間の「知的な判断」を必要とする多様なシーンで力を発揮します。
AIでの業務効率化に関しては「AIで業務効率化するには?|導入成功のステップや事例、今後の動向まで解説」もご覧ください。
RPAの定義と特徴
RPA(Robotic Process Automation)は、あらかじめ設定されたルールに従って、定型のパソコン操作を自動化する技術です。データ入力、コピー&ペースト、システム間のデータ転記など、人間が繰り返し行っている作業を記憶し、同じ手順を高速且つ正確に実行することができ、それが最大の強みでもあります。
例えば、毎月決まった形式の請求書をシステムから出力し、顧客ごとに分類してメールで送信するという作業であれば、RPAは疲れることなく24時間365日、同じ品質で処理を続けることができます。人間の「手足」として、時間と労力を要する定型作業で力を発揮します。
ただし、RPAは人間が設定したルール以外のことはできません。想定外の状況が発生した場合、自分で判断して対応することはできないのです。
AIとRPAの3つの決定的な違い
AIとRPAの本質的な違いを3つの観点から詳しく見ていきましょう。この違いを理解することで、どちらをどのように活用すべきかが明確になります。
1.自律的な判断ができるかどうか
AIとRPAの最も大きな違いは、自律的に判断する能力の有無です。RPAはルールベースで動作するため、「AならばBを実行する」という条件分岐は処理できますが、そのルール自体を人間が事前に設定しなければなりません。一方、AIは大量のデータから学習することで、自らルールを見つけ出し、状況に応じた最適な判断を下すことができます。
例えば、在庫の発注業務を考えてみましょう。RPAの場合、「在庫が100個を下回ったら発注する」というルールを人間が設定する必要があります。しかしAIなら、過去の販売データや季節変動、キャンペーン情報などを学習することで、需要を予測し、「来週セールがあるため通常より多めに発注すべき」といった状況に応じた最適な発注量を自律的に判断できます。
2.役割の違い|AIは頭脳vs RPAは手足
作業実行時に自律的に判断できるかどうかという違いにより、AIとRPAの関係は「頭脳」と「手足」に例えられます。AIは司令塔として判断を下し、RPAは実行部隊として作業を遂行します。
例えば、Excelからシステムへのデータ入力業務を考えてみましょう。RPAの場合、「A列のデータをコピーして、システムの顧客名欄に貼り付ける」という手順を人間が細かく指定する必要があります。一方AIの場合、「このExcelファイルから顧客情報を抽出してシステムに登録して」と指示するだけで、どの列が何のデータかを自ら判断し、適切に処理することができます。
3.適用できる業務の種類と導入難易度
AIとRPAでは、適用できる業務の種類が大きく異なります。前述の通り、AIは判断を下す司令塔、RPAは作業を遂行する実行部隊という役割分担があるため、それぞれが力を発揮する業務も変わってきます。
以下が得意となる業務と具体例です。
-
RPAが得意な業務:手順が明確で、毎回同じ処理を繰り返す作業
(例)データ入力、帳票処理、定期的なレポート作成などの定型業務 -
AIが得意な業務:データの傾向を読み取り、状況に応じた判断が求められる作業
(例) 顧客の問い合わせ分類、需要予測、画像認識による品質検査などの非定型業務
それぞれの導入難易度においても、RPAは比較的シンプルで、プログラミングの専門知識がなくても導入できる製品が多く存在します。一方AIは高度な機械学習や深層学習が必要であり、専門知識が必要なだけでなく、膨大なデータを投入する必要があります。この違いは、導入の意思決定に大きな影響を与えます。
AIでもChatGPTやAI-OCRなど、すぐに使える既製のAIサービスも増えており、導入のハードルは下がってきています。ただし、AIは万能というわけではないため、生成データに対する正確性のチェックや機密情報の管理等、人間による管理は導入後も必要です。
AIとRPAの選び方|自社に必要なのはどちら?
AIとRPAは役割や得意分野、導入のハードルも異なります。RPAは無料ツールから始められ、比較的導入しやすい一方で、業務フローの明確化とメンテナンス体制が重要です。AIも既製サービス(ChatGPT、AI-OCRなど)なら手軽に始められますが、業務に特化したカスタマイズには専門家の支援が必要になりますし、導入後も人間の管理は必要です。
どちらを選ぶべきか迷った際は、自動化したい業務の特性と導入のハードルという2つの軸で判断することができます。まずは以下の質問に答えることで、自社に最適なツールが見えてきます。
業務タイプで判断する
自社に必要なツールを見極めるために、以下の3つの質問に答えてみましょう。
-
「はい」:RPA向き
手順が明確でマニュアル化できる業務は、RPAでの自動化に適しています。例えば「毎週月曜日に売上データをダウンロードし、Excelに転記してメールで送信する」といった業務です。 -
「いいえ」:AI向き、または業務整理が先決
手順が曖昧な場合や、その都度判断が必要な業務はAIの活用を検討しましょう。ただし、業務プロセス自体が整理されていない可能性もあります。その場合、まずは業務の見える化から始めることをお勧めします。
Q1. 自動化したい業務の手順は明確に説明できますか?
業務の見える化の事例に関しては「【事例3選】業務の見える化とは?生産性向上を実現した企業の取り組みと導入ステップを解説」もご覧ください。
-
「はい」:AI向き
「この問い合わせは緊急か」「この書類は承認すべきか」など、判断を伴う業務はAIが得意とする領域です。AIが学習データをもとに判断し、RPAが実行するという組み合わせも効果的です。 -
「いいえ」:RPA向き
判断が不要で、決められたルール通りに処理できる業務は、RPA単体で十分に自動化できます。
Q2. その業務の処理自体に人間の判断が必要ですか?
-
週に数回以上発生する:自動化の効果大
頻繁に発生する業務ほど、自動化による時間削減効果が大きくなります。RPAでもAIでも、導入コストに見合う成果が期待できます。 -
月に数回程度:費用対効果を慎重に検討
発生頻度が低い業務は、自動化よりも業務プロセスの見直しや簡素化の方が効果的な場合があります。また第三の選択肢として、EUCを構築する方法もあります。
Q3. 自動化したい業務は週に何回発生しますか?
EUCに関して詳しくは「EUCとは?業務効率化を実現する仕組みと導入ステップを解説」もご覧ください。
導入のハードルで判断する
-
小規模から始めたい場合:RPA推奨
無料ツール(Power Automate Desktop等)で特定の部署の限られた業務から試験導入できます。効果を実感してから本格展開すれば、投資リスクを最小化できます。ただし、業務フローの明確化とメンテナンス担当者の確保は必須となります。 -
既に具体的な課題が明確な場合:AI、またはAI×RPA
「手書き書類の処理に時間がかかる」「問い合わせ対応が追いつかない」など、明確な課題がある場合は、AI-OCRやチャットボットといった既製AIサービスから始めるのが現実的です。また、RPAと組み合わせることで、さらに広範囲を自動化することができます。
判断に迷う場合:業務の見える化から始める
「どちらを導入すべきか判断できない」という状況は、実は業務プロセスが十分に整理されていないことが原因であるケースが多くあります。AIやRPAといったツール選定の前に、まず現状の業務を見える化することが重要です。
業務の見える化とは、誰が・いつ・どのような作業を・どれくらいの時間をかけて行っているかを明らかにすることです。これにより、本当に自動化すべき業務や、改善効果の高い領域が明確になります。自社での業務見える化が難しい場合や、IT投資の優先順位をつけたい場合は、専門家による業務分析の活用をおすすめします。
DBJデジタルの「業務Analyze」では、現場へのヒアリングから業務フローの見える化、ツール導入や改善施策の提案まで、経験豊富な専門家が一気通貫でサポートいたします。
また、情報漏洩をはじめセキュリティ対策は問題ないか「IT診断サービス」も行っております。
貴社の業務に最適な自動化の方向性を明確にし、費用対効果の高い業務改善を支援します。
詳しくはこちら:
そもそもどうして残業が多いのか分からない‥
業務の課題を特定したい場合は
業務Analyze
詳しくはこちら
会社のIT戦略の策定やIT投資・整備計画の
見直しが必要な方はこちらがおすすめ
IT診断サービス
詳しくはこちら
AIとRPAをうまく使うことで業務をより効率化させられる
本コラムでは、AIとRPAの違いと選び方について解説してきました。RPAは手順が決まった定型業務の自動化に、AIは判断を伴う非定型業務の処理に適しています。重要なのは「どちらが優れているか」ではなく、「自社の課題解決に何が必要か」を見極めることです。多くの企業では、業務プロセスの見える化が不十分なまま導入を進めてしまい、期待した効果が得られないケースがあります。まずは現場の業務実態を正確に把握し、自動化の優先順位を明確にすることが成功の第一歩です。
DBJデジタルでは、業務分析からツール選定、導入・運用まで一貫してサポートいたします。紙の電子化や既存ツールの改善といった小さな一歩から、確実な成果を積み上げていきましょう。ぜひお気軽にご相談ください。
リクルート
ダウンロード




