EUCとは?業務効率化を実現する仕組みと導入ステップを解説

2025.02.21

業務効率化やDXの推進において、EUC(End User Computing)の重要性が高まっています。一方で「具体的な活用方法がわからない」「効果的な運用管理の方法は?」など、導入を検討する企業の疑問や課題はさまざまです。本記事では、EUCの意味から得られるメリット、導入のステップからリスク管理までを解説します。

EUCの基礎知識と重要性

EUC(End User Computing)について、概要を解説します。

EUCとは?

EUCとは、業務部門の社員が直接システムを利用して、必要なアプリケーションやデータベースを作成・運用する仕組みです。具体的には、Microsoft Officeやローコード開発などの身近なツールを活用して、企業のシステム部門に依存することなく、現場部門主導で業務効率化を実現できる点が特徴です。

企業におけるEUCの重要性と位置づけ

業務効率化の観点からとても有効です。特に、データ分析や帳票作成、業務プロセスの自動化などの領域で活用が進んでいます。

EUC導入による4つのメリット

1.業務スピードの大幅な向上

業務プロセスの自動化により、作業時間を劇的に短縮できます。例えばある製造業では、受注管理業務にEUCを導入することで、手作業で3日かかっていた月次レポートの作成を半日に短縮することに成功しました。

2.コスト削減しながら業務品質を向上

専門的なシステム開発やツールの導入に比べて、導入・運用コストを大幅に抑制できます。さらに手作業によるミスの削減や、プロセスの標準化により、業務品質が向上します。例えばある金融機関では、EUC導入により入力ミスが削減され、データの正確性が大幅に改善されました。

3.柔軟な対応力の獲得

IT部門への依頼や開発を待つことなく、現場のニーズに即座に対応できます。業務環境の変化や新たな要件にも、速やかに対応が可能です。

4.経営に必要なデータの収集と抽出

現場のデータを効率的に収集・抽出・分析できることで、経営に関する意思決定がより迅速にできるようになります。例えば、経理・財務部門では、売上データ分析が容易になり、タイムリーな経営戦略の立案が可能となります。

EUC導入を成功させる3ステップ

EUCの効果を最大限に引き出し、成功させるための導入ステップと注意すべきポイントを解説します。

EUC成功のポイント

EUCを構築するには以下の条件が必要です。

  • 開発スキルを持つ人材を確保する
  • 業務量と作業フローを把握する
  • 十分な開発・テスト期間を確保する
  • 運用・保守体制の整備(マニュアル作成、定期的なメンテナンス等)

特に重要なのは、開発後の運用体制です。現場のフィードバックを活かしながら継続的に改善を行うことで、業務環境の変化にも柔軟に対応できます。

業務量調査に関して詳しくは「業務量調査とは?3つの方法と業務改善への活用ポイントを具体例付で解説」もご覧ください。

導入の3ステップ

EUCの導入は段階的に進めると良いでしょう。具体的には以下の3ステップで実施していきます。

Step1:パイロットプロジェクトの実施

まずは小規模な業務から始め、2~3ヶ月の試験導入を実施します。この段階では、特定の業務プロセスを選定し、実際の運用における課題や改善点を洗い出します。導入で効果を出すために、実際の業務データを使用したトレーニングを実施し、現場での具体的な活用イメージを固めていきます。

Step2:効果測定と改善

試験導入の結果を詳細に分析し、定量的な効果測定を行います。作業時間の短縮率、エラーの削減率、ユーザーの満足度など、複数の指標で評価します。この段階で明らかになった課題に対して、必要な改善を加えていきます。

Step3:本格運用と定着化

パイロットプロジェクトでの成功体験を基に、対象業務を徐々に拡大していきます。この際、標準的な業務手順書の整備や、定期的なフォローアップ研修の実施により、EUCの活用を部門内で定着させていきます。利用者の声を積極的に取り入れ、継続的な改善を図ることで、より使いやすい仕組みへと発展させます。

EUC運用でのセキュリティ対策とルールの設計

EUC活用にあたり、トラブルが発生することもあります。予防するには、適切なセキュリティ管理が重要です。具体的には、データアクセス権限の設定、重要データの暗号化、アクセスログの管理などが基本となります。また、以下の運用ルールを明確に定める必要があります。

管理項目 具体的な内容
データ保存場所の指定 共有フォルダの利用、ローカル保存の制限など
ファイル命名規則の設定 作成日、バージョン、作成者など
アクセス権限の管理 パスワード設定、利用者制限など
データバックアップのルール化 実施頻度、保管方法など
定期的なセキュリティ監査の実施 アクセスログのチェック、不正利用の監視、セキュリティポリシーの遵守状況確認など
システムの更新・メンテナンス手順 バージョンアップの実施時期、更新手順の文書化、テスト環境での事前確認など

こうした対策を組織全体で徹底することで、安全かつ効果的なEUC活用が実現できます。

EUC活用の成功事例

EUCの活用で業務効率が向上したり、迅速な経営判断や社員の意識改革に成功した事例を紹介します。

経理業務の効率化で分析時間を創出:三井不動産レジデンシャルサービスの事例

マンション管理会社の三井不動産レジデンシャルサービス株式会社では、会計システムのデータ処理の時間短縮をはじめとする業務効率化を課題としていました。現場の既存業務フローを活かしたEUCシステムの導入により、以下の成果を実現しました。

  • データ集計時間を7時間から1時間へ大幅削減(約85%減)
  • 手作業を排除し、ミスのない帳票作成を実現
  • 他部門とのスケジュール調整に余裕が生まれ、部門間連携が円滑化
  • ITリテラシー向上による組織全体の意識改革

データ集計をはじめとする作業をEUCでシステム化したことは業務改善の成功モデルとして評価され、組織全体にインパクトを与えました。

導入事例の詳細については「導入事例 三井不動産レジデンシャルサービス株式会社様」をご覧ください。

売上管理システム内製化による業務改革:I&S BBDOの事例

広告代理店のI&S BBDO社では、月次の見込み・売上管理をExcelで手作業管理していたため、多大な時間と労力を要していました。EUCを活用したシステム内製化支援により、以下の成果を実現しています。

  • Excelベースの売上管理システムを社内で構築し、データ集計を自動化
  • 手作業による転記・集計作業を排除し、作業時間とヒューマンエラーを削減
  • リアルタイムでの売上データ把握により、予測精度が向上
  • 既存のExcelスキルを活用した開発で、現場への導入がスムーズに
  • データの可視化により、現場社員の数値管理意識が向上

特に、現場で普段使用しているExcelを基盤としたことでEUCによる新システム移行がスムーズに進み、運用コストを抑えながら業務効率化に成功しました。

導入事例の詳細については「株式会社I&S BBDO様」をご覧ください。

EUCコンサルがもたらす効果的な業務改善

EUC活用の成功事例のような効果を、御社でも実現したいとお考えではないでしょうか。

「手作業を減らしたい」「既存ツールが使いづらい」といった現場の課題や、大規模なシステム投資をせずに業務改善を実現したい。そんな企業のニーズに応えるのが、EUCコンサルティングです。DBJデジタルでは、社内に散在するExcelやローコードツールを診断・最適化し、業務効率化を実現。既存の業務フローを活かしながら、現場主導の改善を支援します。また、EUCの統制整備や教育支援を通じて、現場が自走できる体制づくりをご支援します。経験豊富な専門家チームが、御社の課題に合わせた最適なソリューションをご提案いたします。まずはお気軽にご相談ください。

EUCコンサルティング:https://www.dbj-digital.jp/service/consulting/euc/euc-consulting/

段階的な導入と適切な管理で、EUCは業務効率化の強力な武器に

本コラムでは、EUCの基本概念から導入ステップ、さらには運用管理のポイントまで解説してきました。EUCは、適切に活用することで業務効率化や生産性向上に大きく貢献する重要なアプローチです。導入や活用について専門家による支援をご検討の際は、ぜひDBJデジタルソリューションズにお問い合わせください。

EUCでお悩みの方、まずはご相談ください