業務改善アイデア15選!部門別の改善施策を具体的に紹介

2025.02.21

業務改善とは「業務プロセスのムダを省いて効率化を図ること」を指します。社員や部署レベルでの作業効率化を積み重ねることで、最終的に組織全体の生産性向上へとつながります。一方で、多くの企業が必要性を感じながらも、「何から始めれば良いのかわからない」「効果が見えにくい」といった課題を抱えています。

このコラムでは、経理・財務、人事、営業など部門別の業務改善アイデアや改善を成功させるポイント、そしてコストを抑えながら成果を出すための業務改善の進め方について、具体例を交えて詳しく紹介します。

業務改善とは?生産性向上との違いとメリット

昨今の人手不足や働き方改革への対応として、業務改善は企業の重要課題となっています。ここでは、業務改善の本質的な目的と、具体的な効果について解説します。

そもそも業務改善とは?生産性向上との違い

業務改善とは、業務プロセスから無駄を省き、効率化を図ることで、組織全体の生産性を向上させる取り組みです。一方、生産性向上は、投入資源(時間・人員・コストなど)による出力(売上・利益など)の比率を高めることを指します。業務改善は生産性向上を実現するための具体的な手段といえ、両者は目的と手段の関係にあります。

業務改善で得られるメリット

業務改善によって、具体的には以下のようなメリットを得られます。

  • 人員不足への対応と業務負担の軽減
  • 業務品質の安定化と属人化リスクの低減
  • 新規業務や改善活動への時間創出
  • 働き方改革の推進

業務改善を進めることで、組織全体の生産性向上につながり、人手不足が深刻化する現代のビジネス環境において即効性の高い解決策となります。

成果を出す業務改善アイデアを出すためのポイント

効果的な業務改善を実現するためには、現場の実態を正確に把握し、データに基づいた意思決定を行うことが重要です。

現場の声を活かした課題抽出の方法

業務改善の成否は、現場の実態把握にかかっています。アンケートやヒアリングだけでなく、業務フローの可視化や作業時間の定量的な測定を通じて、改善ポイントを特定することが効果的です。例えばある小売企業では、業務フローを図式化し、各作業の所要時間を測定することで、マニュアルには記載されていない属人化された「暗黙知」を発見し、研修プログラムの改善につなげました。

属人化に関して詳しくは「属人化解消の具体的な進め方|リスク分析から効果的な対策まで」もご覧ください。

データから優先順位を付ける

改善すべき業務の優先順位を決める際は、「業務量」と「作業頻度」の2軸でマッピングすることが有効です。業務量が多く作業頻度も高い作業は自動化による効果が高く、優先的に取り組むべき対象となります。例えば、日次や週次で行うデータ入力やデータ加工、毎月の請求書処理や勤怠集計などが該当します。

またその際、業務量調査を行うとより効果的に業務量と頻度、優先的に改善に取り組むべき対象業務が可視化されます。

業務量調査に関して詳しくは「業務量調査とは?3つの方法と業務改善への活用ポイントを具体例付で解説」もご覧ください。

小さな改善から始める「カイゼン」も効果的

業務改善の手法の一つとして、小さな改善から始めて成功体験を得る「カイゼン」アプローチも効果的です。例えば、毎週金曜日の朝15分を「改善タイム」として設定し、各自が見つけた小さな無駄の改善案を共有・実践する取り組みから始めることで、組織に改善文化を醸成できます。

部門別・業務改善の実践アイデア

各部門で発生する業務課題は異なるため、部門の特性に応じて改善施策を行うことが効果的です。コストをかけず、すぐに取り組める改善アイデアを紹介します。

経理・財務部門の改善アイデア

◆ 仕訳ルールのシステム実装

会計システムに仕訳ルールを実装し、自動仕訳の範囲を拡大します。取引内容に応じてルールエンジンが適切な仕訳を自動提案することで、仕訳の正確性向上と処理時間の短縮を実現します。

◆ 経費精算システムの最適化と自動化

経費精算から支払までの承認フローを部門・金額別に最適化し、会計システムとの自動連携を実現します。経費カテゴリーの統一、モバイル申請対応、経費データの分析基盤構築により、処理時間の短縮と透明性の向上を図ります。

◆ 予実分析テンプレート(EUC)の作成

予算と実績の差異分析を自動化するExcelテンプレートを作成します。Power Queryによるデータ取込、ピボットテーブルでの分析、差異理由の定型文選択機能により、分析資料の作成時間を削減できます。

EUCに関して詳しくは「EUCとは?業務効率化を実現する仕組みと導入ステップを解説」もご覧ください。

◆ 月次報告資料の統合

経営会議用、部門管理用など目的別に作成していた月次報告資料に関して、共通部分は一元化して必要な分析視点のみを追加する形式に変更します。資料作成の重複作業がなくなり、データの整合性も確保できます。

◆ グループ会社間取引の標準化システム構築

複数の子会社や関連会社との取引を一元管理するシステムを構築します。連結決算の効率化と内部取引の照合作業の自動化が可能になり、監査対応の効率化と証跡管理の強化も実現できます。

◆ 部門横断経費精算ワークフロー確立

経費精算から支払までの承認フローを部門・金額別に最適化します。経費カテゴリーの統一と予算管理の連動、外出先からのモバイル申請対応、経費データの分析基盤構築による予算策定への活用が可能になります。

人事部門の改善アイデア

◆ 社内規程集の使いやすさ改善

バラバラに保管されている人事関連の規程類を整理し、目的別のインデックスを作成します。「育児に関する制度」「休暇・休職制度」など、社員が知りたい情報にすぐにアクセスできるようになり、人事への問い合わせも減ります。

◆ 入社手続きパッケージの整備

入社時の説明事項はパワーポイントで資料化する、提出書類もそこに記載するなどしてパッケージ化します。記入例や補足説明を充実させ、よくある質問への回答も含めることで、個別対応を最小限に抑えられます。新入社員の手続きもスムーズになり、ミスも防げます。

◆ 人材情報データベースの構築と活用

社員のスキル・経験データベースを一元管理し、部門を超えた人材活用を促進します。キャリアパス設計支援と育成計画の自動提案、後継者育成計画との連動も可能になります。

◆ 人材管理・評価システムの統合運用

人事評価、給与計算、勤怠管理などの人事系システムを統合し、データの一元管理を実現します。各種申請手続きの電子化と承認フローの自動化により、業務効率を大幅に向上できます。

営業部門の改善アイデア

◆ 見積書の「パターン別」テンプレート作成

商品・サービスの組み合わせパターンごとに見積テンプレートを整備します。価格表との連動や定型文の用意により、見積作成の時間を短縮。事務担当者でも作成できるようになり、営業担当者は商談に集中できます。

◆ 商談議事録のフォーマット最適化

商談後すぐに記入できる、シンプルな議事録フォーマットを整備します。要点(商談目的、決定事項、次回アクション)を箇条書きで記録。その場で記入・共有することで、後からの詳細な報告作成が不要になります。

◆ 提案資料を「部品化」して社内共有

提案書や企画書によく使用する図表、説明文、事例などを「部品」として整理し共有します。案件に応じて部品を組み合わせることで、一から作成する手間を省きながら、提案品質も保てます。
これらの改善アイデアは、いずれも特別なシステムを新たに導入することなく、すぐに実践可能です。

◆ インサイドセールス部門の確立

リード獲得から初期商談までの専門チームを編成し、営業担当者の活動最適化を実現します。デジタルマーケティングとの連携強化や商談品質の標準化も推進します。

◆ 営業活動管理のCRM統合

顧客情報、商談履歴、見積情報などをCRMで一元管理し、営業活動の可視化を実現します。案件進捗の自動追跡や売上予測の精度向上により、戦略的な営業活動が可能になります。

実践で成功させるために

これらの改善を進める際は、現場の意見を取り入れること。そして業務の可視化を行いながら、段階的に行うことが成功のカギとなります。特に、デジタルツールを活用する際は、使用する社員の習熟度や既存の業務フローとの整合性を考慮しながら進めていく必要があります。

コストパフォーマンスの高い業務改善アイデア

限られた予算の中で最大の効果を得るためには、投資対効果を重視した施策選びが重要です。

ゼロコストで始められる改善策を行う

システム投資を行わなくても、運用の工夫で大きな効果を得られる改善策があります。その中でも特に効果が高いのが会議改革です。ある企業では、「会議の目的と終了時刻の明確化」「資料の事前共有ルール化」「会議録テンプレートの統一」という3つの施策だけで、月間の会議時間を削減することができました。

費用対効果の高いツール導入する

費用対効果の高いツール導入では、作業時間の削減効果に加え、品質向上や標準化の効果も考慮して判断が必要です。新規システム導入には多くの予算と時間を要するため、まずは既存ツールの活用を検討するのが得策です。

特に、Excelには豊富なデータ分析・業務自動化機能が備わっています。専門的なITスキルがなくても現場担当者が効率化を進められるEUC(End User Computing)は有効な手法です。まずはこれらの機能を最大限活用することで、低コストでの業務改善が実現できます。

EUCに関して詳しくは「EUCとは?業務効率化を実現する仕組みと導入ステップを解説」もご覧ください。

EUCコンサルがもたらす効果的な業務改善

DBJデジタルでは「手作業を減らしたい」「既存ツールが使いづらい」といった現場の課題に対して、EUCコンサルティングを提供しています。社内に散在するExcelなどのEUCツールの状況を診断し、リスクと課題の可視化から、ツールの改修、必要に応じたシステム化まで、一気通貫でサポートします。EUCや業務改善に精通した専門家チームが、お客様の現場に寄り添った改善をご提案します。EUCの導入や興味をお持ちの方はお気軽にご相談ください。

EUCコンサルティング:https://www.dbj-digital.jp/service/consulting/euc/euc-consulting/

現場の実態を把握し、小さな改善から始めることが成功の鍵

本コラムでは、経理・財務、人事、営業の各部門における具体的な業務改善アイデアや、コストパフォーマンスの良い業務改善アイデアを紹介しました。業務改善は適切なアプローチによって進めることで、大きな成果につなげることが可能です。より詳細な業務改善についてのご相談や、専門家による支援をご検討の場合は、お気軽にお問い合わせください。

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