不動産業に関するコラム
不動産管理会社とは|PM業務の内容や選び方を解説
ビルなどの物件を自社で運用・管理する場合、収益最大化のためにも日々あらゆる業務を行わなければなりません。例えば、賃借人の募集、空室管理や入居率を高めるための設備導入・リノベーション、希望者への物件案内、契約者のクレーム対応・トラブル対応などです。
多くの物件を所有する企業の担当者が、すべての業務をスムーズに行うことは決して簡単ではありません。さらに、不動産管理における知識がなければなおさら困難となります。そこで、おすすめなのが「不動産管理会社への依頼」です。
当記事では、不動産管理会社とはどのような会社なのか、選び方もあわせて詳しく解説します。所有している不動産の管理の効率化を上げたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
目次
1. 不動産管理会社とは?
不動産管理会社とは、その名の通り不動産の管理を担当する会社です。主に、「所有している不動産の管理を一任したい」「不動産賃貸経営に関わる業務を委託したい」と考える人(企業・個人)の依頼先となります。
ひとくちに不動産管理会社といっても、事業内容によってさまざまなタイプの会社が存在します。大別すると、PM(プロパティマネジメント)事業・BM(ビルマネジメント)事業・FM(ファシリティマネジメント)事業の3種類です。
●PM(プロパティマネジメント)事業を行う会社
PM(プロパティマネジメント)事業は、物件に直接的に関わる管理業務の全般を指します。不動産管理会社はPM事業として、不動産オーナーに代わって不動産の資産価値の維持・向上や入居者へのスムーズな対応に向けたあらゆる業務を行います。業務範囲は多岐にわたることが特徴です。
物件を所有する企業の担当者が1人もしくは数名でPM業務を行うことは基本的に困難です。なぜなら、詳細な業務内容が多岐に亘り、不動産管理における高い水準の専門的知識を要するためです。
「とにかく不動産管理における業務を一任したい」「所有している不動産の収益性を高めたい」と漠然とした希望がある場合は、まずは、PM事業を行う不動産管理会社への依頼がおすすめです。
●BM(ビルマネジメント)事業を行う会社
BM(ビルマネジメント)事業は、建物自体(ハード)としての保守・保全や衛生管理、清掃業務、設備の運転保守、消防・防災設備の点検、警備業務など、建物・物件の施設・設備に関する維持・管理業務を指します。
●FM(ファシリティマネジメント)事業を行う会社
FM(ファシリティマネジメント)事業は、BM事業の維持・管理業務を包括し、PM物件の施設・設備に関する管理業務を指します。施設・設備には、什器や備品はもちろん、「空間」といった物件環境全般も含まれることが特徴です。
FM事業を行う会社は、上手に稼働できていない物件を他業態に転換(一般賃貸→シェアハウス賃貸)したり、入居率が低下している物件をリノベーションしたりして、床単価の上昇や、入居者の増加やすでに入居している人に対して快適な環境の提供を目指します。
「古い物件をアップデートして入居率を高めたい」といった希望がある場合は、FM事業を行う不動産管理会社への依頼がおすすめです。
多くの不動産管理会社は、PM事業がメインとなっています。ここからは、主にPM業務にフォーカスして主要業務・不動産管理会社の選び方を説明します。
2. PM業務を担当する不動産管理会社の主要5業務
PM業務を主に担当する不動産管理業務は、下記5つを主要業務としています。
●リーシング・マネジメント業務
リーシング・マネジメント業務とは、あらゆる空室対策を行ったうえで物件稼働率を高める業務のことです。市場調査から始まり、賃借人の募集・管理・仲介業務を行って最終的な賃貸借契約の締結を目指します。必要に応じて賃借人からの問い合わせやクレームに対応することも、PM業務を担当する不動産管理会社の重要な業務です。
●レポーティング業務
レポーティング業務とは、一定期間における収支やキャッシュフロー、さらに入居者名簿やPM業務の活動内容をまとめる業務のことです。不動産所有者が現状を的確に把握するために行われます。必要に応じて市場調査を行い、結果を報告することもPM業務を担当する不動産管理会社の重要な業務です。
●メンテナンス業務
メンテナンス業務とは、物件の共用部分を含む各種設備の維持・管理といったメンテナンス業務のことです。入居者や賃借人の快適性はもちろん、物件資産価値の維持・向上に向けて行われます。前述したBM会社に委託するケースも多くあります。
●コンストラクション・マネジメント業務
コンストラクション・マネジメント業務とは、中規模から大規模の改修・修繕工事を行う際の工事計画の立案、施工業者の精査、工事監理などのあらゆる業務のことです。修繕工事においてPM業務を担当する不動産管理会社は、第三者目線でオーナーへの報告やマネジメントを行います。
●アカウント業務
アカウント業務とは、いわゆる「賃料などの入出金管理」のことで、具体的には入居者に対する毎月の請求書発行業務や入金確認、さらに年度末の会計報告・税務処理といった業務が挙げられます。このように、不動産管理会社はお金に関する複雑な業務も任せることが可能です。
3. 不動産管理会社の選び方|3つの注目点
不動産管理会社は、全国に数多く存在しています。PM業務は物件の収益性と直接的なつながりをもつため、会社選びは慎重に行う必要があるでしょう。
ここからは、不動産管理会社を選ぶ際に考慮すべきポイントを3つ紹介します。
3-1. 稼働率改善につながるか
不動産管理会社は、まず「この会社に依頼して、稼働率の改善につながることが期待できるか」をポイントに探すことが大切です。
各不動産管理会社の公式ホームページや資料には、必ずといってよいほど実績が掲載されています。その中でも特にアピールポイントとなるのが「入居率」です。基本的に入居率は70%以上があれば黒字となるケースが多く、当然高ければ高いほど優秀な不動産管理会社であることがわかります。
しかし、不動産管理会社によっては「最も優秀だった時点での入居率」を掲載している可能性もゼロではありません。そのため、不動産管理会社が示す入居率が、何をベースと入居率を算出しているか、いつの時点での入居率なのか、リーシングについてどのような手法、考え方、実績を持っているかもきちんとリサーチすることが重要です。
3-2. バリューアップにつながるか
不動産管理会社を選ぶ際は、バリューアップにつながるか、つまりその物件の資産価値の向上が期待できるかどうかもチェックしておきましょう。
なぜバリューアップが重要なのか、それは「賃料単価の向上と入居率の維持」が大きく関係します。バリューアップが叶えば、適切な価格で継続して入居してもらうことが可能となります。
数々の実績を残す優秀な不動産管理会社は、バリューアップに向けてあらゆる方法を実施しています。例えば、オーナーのニーズや現状の問題を把握することは大前提です。ニーズを踏まえたうえで、新たな設備の導入や改修・修繕工事の実施などのハード面での改善や、管理、運営方法などソフト面での改善を提案してきます。また、最近では、環境負荷の低い不動産の価値が高まっていることから省エネ性能についてのニーズを満たすことも重要になってきています。
バリューアップにつながるかどうかは、「自社のニーズに適した幅広いアドバイスを得られるかどうか」をよく見ておくとよいでしょう。
3-3. NOI向上につながるか
きちんと信頼できる不動産管理会社を選びたいのであれば、「NOI」にも注目しておきましょう。NOIとは「Net Operating Income」の略であり、いわゆる純利益のことです。
どの業界にも共通することですが、不動産経営においては家賃収入の多寡が利益に直結するわけではありません。空室の発生や営繕、大規模修繕工事といったメンテナンス費の比重も高いため、家賃収入だけでなくNOIもしっかり見ておくことが重要です。そして、この考え方は不動産管理会社も同様でなければなりません。
単純に家賃収入や定期的なメンテナンスのコスト削減に着目する不動産管理会社よりも、長期的な視点でNOIに着目する不動産管理会社は、お互いに利益を生み出すためのあらゆる提案を行ってくれます。そのため、より信頼できる会社といえるでしょう。
まとめ
不動産管理会社とは、不動産の管理を担当する会社であり、いわゆる「所有している不動産の管理を一任したい」と考える人(企業・個人)の依頼先です。また、ひとくちに不動産管理会社といっても、PM事業を主要業務とする会社・BM/FM事業を主要業務とする会社に大別されます。「不動産管理における業務を一任したい」「所有している不動産の収益性を高めたい」という場合は、PM事業を主要業務とする不動産管理会社への依頼がおすすめです。
不動産管理会社を探す際は、「稼働率改善につながるか・バリューアップにつながるか・NOI向上につながるか」といった3つのポイントに注目しておくとよいでしょう。ここまでの内容を参考に、ぜひ信頼できる不動産管理会社を見つけてください。
日々の業務をもっと楽に セミオーダー型の不動産管理
お役立ち資料ダウンロード
不動産オーナー向けの請求書電子化対応方法のご紹介や、賃貸管理システムの選定方法や導入時に気を付けるポイントなど、不動産業界におけるお役立ち情報を公開しています。
お役立ち資料
ダウンロードはこちら