不動産業に関するコラム

不動産会社のマーケティング戦略|市場状況から事例までを紹介
好況を呈している不動産業界ですが、その市場は常に変化しています。市場の変化に応じて、マーケティング手法も日々更新しなければなりません。一人でも多くの顧客を獲得するためには、適切な集客方法を実践する必要があります。
特に近年注目の動きとしては、マーケティングにも自動化の波が押し寄せています。これにより、不動産広告は従来の不特定多数に向けたものから、ピンポイントに対象を絞ったものへと移行しつつあります。最新の戦略を知ることによって、コストパフォーマンスに優れた広告展開を行うことができるでしょう。
そこで今回は、不動産業界におけるマーケティング戦略を紹介します。現在の市場状況や実際の事例も取り上げているため、ぜひ集客を図る上での参考にしてみてください。
目次
1.不動産業界における市場の実態
まず初めに、現在の不動産業界を取り巻く市場について確認しておきましょう。
最も顕著なものとして、スマートフォンの普及が挙げられます。これまで、賃貸物件を借りたいユーザーが物件を探すためには、不動産屋へと足を運ぶ必要がありました。
しかし、スマートフォン普及した現在、いつでもどこでも気軽に賃貸情報サイトで比較・検討することが当たり前の時代です。無数の情報のなかから、目当ての物件をじっくりと吟味できるようになりました。
さらに、日本は少子化による人口減少が続いています。進学や就職、結婚などによって部屋を探す若年層が減ることで、市場競争はより激しくなることが予想されます。
こういった状況のなかで、単に情報の量だけで不動産集客を行うことは難しくなりました。今後、他社との差別化を図るためには、高度なマーケティング戦略が求められるでしょう。
不動産集客に向けたマーケティング戦略
それでは、具体的にどのようなマーケティング戦略が考えられるのでしょうか。
ひとくちに「マーケティング」といっても、市場調査から価格設定までと、業務内容は多岐にわたります。
ここからは、そのなかでも狭義のマーケティングとして、販促戦略を中心に紹介します。
一般的にマーケティングと聞くと、街頭チラシやテレビCM、あるいはWEB広告などのサービスが思い浮かぶという方も多いでしょう。
いずれも比較的取り組みやすい手法であり、すでに多くの不動産会社が実践しています。特にオンラインでの広告は効果測定が容易であるため、改善を繰り返すことで成果の向上を図ることができます。
一方で、これらの手法はターゲットに合わせた細やかな運用管理をする必要があるため、相応の時間と労力がかかってしまうことは避けられません。
また、データ分析では特にマーケティングの専門的な知識・経験が求められるでしょう。
そこで、近年注目を集めている仕組みが「MA」(マーケティングオートメーション)です。
2-1. MA・CRMの活用
MA・CRMは従来のマーケティングを自動化するツールのことで、いわゆる「見込み客」を効果的に「顧客」へと育て上げるために開発されました。
では、具体的に何を自動化することができるのでしょうか。代表的な例を、以下に説明します。
〇リスト作成
企業サイトを訪れた見込み客の情報や、サイト上での行動ログを分析・管理します。訪問日時・性別・年齢・ページの閲覧傾向・資料請求の有無など、様々な角度でリストを作成することが可能です。
〇メール配信
分析した情報をもとに、メールコンテンツを戦略的に配信します。配信日時や内容を個別に変えることで、見込み客の検討度を上げることができます。また、MAを使えばメールの開封率も把握できるため、この段階でさらに情報を収集して再検討することが可能です。
〇レポート作成
MAによる施策の効果を測定し、グラフを用いてわかりやすく可視化します。いくら自動化といっても、手放しで効果が出るわけではありません。レポートをもとに試行錯誤を繰り返す必要があります。
主な自動化の例は以上ですが、こうしたツールは顧客獲得だけではなく、その後の関係を維持するためにも活用されます。一般的に「CRM」(カスタマーリレーションシップマネジメント)と呼ばれている手法で、顧客との長期的なコミュニケーションを図り、商品のリピートや購入者の口コミを生み出すことができます。
MAもCRMも、対象を絞った販売促進を行うことにより、絶大なマーケティング効果をもたらしてくれるでしょう。
3. 不動産におけるマーケティング事例
ここからは、不動産業界で実際に行われたマーケティングの例を紹介します。
〇MAの成功例
東京・三鷹駅近くに新築マンションを販売した大手不動産会社のA社は、MAツールを導入し、メルマガ広告を行いました。A社のマーケティングが成功した要因のひとつには、「ターゲットにより異なるアピール方法を行ったこと」が挙げられます。
A社が配信したメルマガでは、ターゲットに合わせて異なる内容を記載し、以下のようにそれぞれアピール方法を変えています。
三鷹駅から離れた場所に住んでいる見込み客・・・三鷹の街の住みやすさ
三鷹駅周辺に住んでいる見込み客・・・マンションの建物自体の魅力
結果的に、MA導入前と比較して、メルマガの開封率は1.5倍、契約率は約2倍まで上昇しました。もちろん、営業担当者など社員にかかる負担も大幅に減少しています。
不動産マーケティングの可能性を示す、優れたモデルケースと言えるでしょう。
〇コンテンツマーケティングの成功例
コンテンツマーケティングで成功したB社は、ニューヨークを拠点とする不動産会社です。B社は「スタッフブログで不動産に関するローカルな情報」を発信していることが特徴で、このスタッフブログこそが成功へと導いた要因のひとつでもあります。
B社が発信するスタッフブログでは、暮らしに関するさまざまなトピックを提供しながら、自然な形でコンバージョンへと繋げることに力を入れています。
【ブログ例】
ニューヨークで「ペットと泊まることができるホテル」の紹介をする
↓
記事終盤で、「ペット可の物件情報はこちら」と不動産サイトへの案内を行う
↓
ターゲット・ユーザーを絞り込みながら、自然な形でコンバージョンに繋げる
このように、見込み客に価値あるコンテンツを提供し、最終的な行動を促す手法は、「コンテンツマーケティングの代表例」です。現在では不動産業界にも広く浸透してきた手法ですが、B社は初期からの成功例と言っても過言ではありません。
数多くの情報であふれている現代社会において、露骨な売り込み広告は嫌悪される傾向にあります。ここで紹介した2社の例は、顧客の利益を最優先に考え、時代に即したマーケティング戦略を実践していると言えるでしょう。
4. マーケティングを実施する為に必要な準備とは
では、実際にマーケティングの担当者となった場合、具体的にどのような事業計画を立てるべきでしょうか。
マーケティングの企画を提案するとき、最初に考えるべきは予算です。
広告宣伝費にかける平均予算は業界によって異なりますが、不動産事業の場合、売上比で5%前後が目安と言われています。当然、シーズンによっては広告宣伝費の増額も考えられるため、ある程度の余裕は持たせたいところです。
予算を設定することで、予算に対していくらの売上が出たのか、具体的な利益を測定できるようになるはずです。測定結果をもとにマーケティングの検証を行い、改善を図ることで成長サイクルが生まれます。
したがって、正確な収益管理を行うことが、マーケティングには不可欠と言えるでしょう。
また、この測定では数字だけでなく、見込み客との関係をどのように構築したか、という点にも注視する必要があります。見込み客との関係性をより強化する手法のことを、主に「エンゲージメントマーケティング」と呼びます。
MAツールは、エンゲージメントマーケティングを成功させるためのツールとしても役立ちます。不動産業界でマーケティングを成功させたいのであれば、まずは「何をすべきか」を考え、適切なツールを活用しながら着実に進めることが大切だと言えるでしょう。
まとめ
ここまで、不動産会社が立てるべきマーケティング戦略から、実際にマーケティングの事業計画を立てる際の準備までを詳しく紹介しました。
もはや従来のマスマーケティングの手法だけでは通用せず、その中心はひとりひとりの顧客に向けたエンゲージメントマーケティングに変わりつつあります。SNSやメルマガ・ブログを効果的に活用し、時代に合わせた最適なマーケティングを常に行わなければなりません。
現在、マーケティング手法はまだまだ他にも存在します。ここまでの内容を参考に、最先端の情報をキャッチアップしながら、より良い成果を導いてください。
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