業務改善コンサルティングとは?メリットや進め方、会社選びを解説
2025.07.12

企業が厳しい競争環境を生き抜くため、業務改善は避けて通れない課題です。しかし、日々の業務に追われる中で自社だけで効果的な改善を実現することは難しい問題です。そこで注目されているのが業務改善コンサルティングの活用です。本コラムでは、業務改善コンサルティングの概要とメリット、進め方や注意点、適切なコンサルタントの選び方を実践的な観点から解説します。
業務改善コンサルティングとは
そもそも業務改善とは、企業の業務プロセスを分析し、無駄や非効率を排除して最適化することで、生産性向上やコスト削減、品質向上を実現する取り組みです。人手不足や働き方改革、コスト競争の激化など、企業を取り巻く環境が厳しさを増す中、効率的な業務プロセスの構築は企業の生存戦略の一つとなっています。
その中で業務改善コンサルティングとは、クライアント企業の業務プロセスを効率化し、生産性を向上させるための専門的なサポートを行うサービスで、企業の競争力を強化する有効な手段となります。
業務改善コンサルティング会社の役割と価値
業務改善コンサルティング会社は、企業の業務プロセスを客観的に分析し、問題点を特定して改善策を提案・実行支援する専門家です。さまざまな業界での改善事例や最新技術の知見を持ち、豊富な経験と専門知識から社内では気づきにくい問題点を発見することで最適な改善策を提案します。
業務改善コンサルティングを依頼するメリット
業務改善コンサルティングを依頼するメリットを解説します。
客観的視点で課題を発見できる
長年同じ方法で仕事をしていると、非効率なプロセスでも「当たり前」と感じ、改善の機会を簡単に見逃します。外部コンサルタントは先入観なく業務を観察し、本質的な問いかけを行い、課題を検出することができます。
専門知識やノウハウを活用できる
コンサルタントは多くの企業の改善プロジェクトの経験から、効果的な手法と失敗パターンを熟知しています。さまざまな業界での成功事例や具体的な改善手法をもとに、自社だけでは思いつかない解決策を提示できます。また、過去の類似プロジェクトの知見から、陥りがちな落とし穴を回避することも可能です。
最新技術・トレンドの導入支援を受けられる
業務プロセスの再設計や組織体制の見直しも含めた総合的なアプローチが業務改善コンサルティングの強みです。その一環として、EUC(End User Computing)やRPAやAI、クラウドサービスなどさまざまな技術の特性を理解しているため、自社の課題に最適なソリューションの提案が受けられます。ピンポイントの業務課題の解決だけでなく、全体を俯瞰した最適化を行うことができます。
社内リソースや時間を効率的に使える
業務改善のノウハウを蓄積したコンサルタントは、効率的に分析から実装までを進めることができます。社内リソースだけで取り組む場合と比べて、短期間で成果を上げることが可能になり、本業への影響を最小限に抑えられます。
業務改善コンサルティングの進め方と主なアプローチ
業務改善コンサルティングの流れと、具体的なアプローチを解説します。
現状の業務プロセスを可視化
まずは業務の棚卸しを行い、業務プロセスを明らかにします。そして業務フロー図やプロセスマップを作成し、誰が何をどのように行っているかを「見える化」します。この過程で実際の業務と認識のギャップも発見していきます。
業務の棚卸しに関して詳しくは「業務の棚卸しの進め方|5つの手法と実践ステップを解説」もご覧ください。
具体的な業務課題の抽出と根本原因の特定
作業時間の測定、エラー率の分析、ボトルネックの特定などを通じて、定量的なデータに基づいた課題を抽出します。
また、表面的な問題に対処するだけでは、真の改善にはつながりません。なぜ問題が起こるのかを問う「なぜなぜ分析」などの手法を用いて、問題の根本原因を掘り下げます。
業務課題に関して詳しくは「業務課題とは?可視化の方法から解決手順までを解説」もご覧ください。
改善策の優先順位を決定
効果の大きさ、実現の容易さ、コストなどの観点から改善策の優先順位を決定します。少ない労力で大きな効果が得られる施策を最初に実施することで、早期に成果を出すことができます。
実行計画を立案し改善を実施
誰が、いつまでに、何をするのか、必要なリソースは何かを明確にし、実行可能な計画に落とし込みます。コンサルタントは計画立案だけでなく、実行フェーズでも重要な役割を果たします。
業務改善の具体的な施策に関しては「業務改善アイデア15選!部門別の改善施策を具体的に紹介」もご覧ください。
改善効果を測定・検証
改善前に設定したKPIに基づいて効果を測定し、目標達成度や投資対効果を検証します。効果測定は単なる数字の確認ではなく、改善活動の質を高めるための重要なプロセスです。
改善を定着させる仕組みを構築
標準作業手順書の整備、定期的なモニタリング体制の構築、改善活動を評価する仕組みの導入などを行います。社内に改善のノウハウを蓄積し、自律的に改善を続けられる組織文化を醸成することも重要です。

業務改善コンサルティング会社を選ぶ際のポイント
業務改善コンサルティング会社を選ぶ際のポイントを解説します。
実績と専門性をチェックする
過去のプロジェクト実績や事例、クライアント企業の評価などを確認しましょう。特に類似業界での実績や、自社と近い規模や課題を持つ企業での成功事例は、適切な支援が期待できる指標となります。業界特有の課題や規制に精通しているか、最新の技術トレンドに対する知見があるかといった点も、専門性を判断する上で重要です。
中立的な視点での提案力を評価する
特定のシステムやツールにとらわれず、クライアントに最適なソリューションを提案できるコンサルタントを選びましょう。自社製品を持たないコンサルタントは、忖度なく中立的な立場からアドバイスができるため、根本的な課題解決につながる提案を期待できます。提案内容が自社の現状と将来ビジョンに合致しているか、テンプレート的なアプローチではなくオーダーメイドの提案となっているかも重要な判断基準です。初回打ち合わせや自社の課題感や悩みといった質問への回答から、提案力や中立性を見極めましょう。
サポート範囲や体制を確認する
業務分析から実装、定着化までの一貫したサポート体制があるかを確認します。業務可視化から改善策の提案、効果測定まで総合的に支援できるパートナーを選ぶことで、複数のベンダーを調整する手間を省けます。
また、社内人材育成支援や知識・ノウハウ伝授の方法論も、長期的な業務改善で自走化するための選定基準となります。また、担当コンサルタントの経験レベル、バックアップ体制も確認しましょう。プロジェクト途中での担当者交代による混乱を避けるため、情報共有体制や緊急時対応、プロジェクト後のサポートについても事前に確認することが重要です。
業務改善コンサルティングの成功事例
ITコンサルティングからシステム導入・運用まで幅広いソリューションを提供するDBJデジタルソリューションズ株式会社による、日本海曳船株式会社の事例を紹介します。
日本海曳船株式会社は船舶の入出港サポートやLNG積載船のエスコートなどの行う曳船事業会社です。同社は船員の特殊な勤務体制に対応した勤怠管理に課題を抱えており、既存のExcelベースの手作業による管理では膨大な時間を要し、オペレーションミスのリスクも存在していました。また、データが一元管理されておらず、運用・分析業務に多大な負荷がかかっていました。
DBJデジタルは、この課題に対しEUCアドバイザリーサービスを提案。現場部門が主体的に業務改善ツールを企画・開発・運用するボトムアップ型のアプローチで、情報の一元化と作業の標準化を実現しました。プロジェクトでは、業務整理から着手し、作業の簡略化と統合を検討。現場部門と密接に連携しながらシステム開発を進めた結果、2023年のリリース後、作業時間の大幅短縮を達成。
さらに、収益管理システムにも同手法を適用し、勤怠管理システムとの情報連携による業務の高度化も実現しました。このプロジェクトは単なるシステム刷新ではなく、社員の業務改善意識を高め、組織全体の生産性向上につながった成功事例です。

業務改善コンサルで業務の無駄を削減し、自社の強みを伸ばしましょう
業務改善コンサルティングは、企業が効率的かつ効果的に業務プロセスを改革し、競争力を高めるための強力なツールです。外部専門家の客観的視点と専門知識を活用することで、自社だけでは気づけない課題の発見や、効果的な改善策の立案・実行が可能になります。
DBJデジタルでは、お客様の業務改善を業務プロセスの洗い出しからシステム構築まで一気通貫でサポートし、持続的な成長を支援しています。業務改善や効率化にお悩みの方は、ぜひDBJデジタルにお問い合わせください。